泣いていた2歳の子が、そっと手を差し出してくれた日のこと
はじめまして。神奈川県相模原市で、ベビーマッサージと手形アートのおうち教室をしている、petapeta-art®アドバイザーのみーこです。
3人の子育てに追われながら活動を続けていますが、その原点には、自分自身の子育てへの後悔があ
ります。小さなわが子が思い通りに動いてくれないと、とてもイライラしていました。
1人目、2人目の頃は特にそうだったと思います。初めての育児で余裕がなかったと言えば聞こえはいいですが、今思えば「子どもをコントロールしようとしていた」⸺まさにそれでした。
そんな自分から一歩抜け出せたのは、3人目の出産後のことでした。
上の2人を育てた経験のおかげで、気持ちに余裕があり、ただ目の前の赤ちゃんと向き合うことができました。
そのとき出会ったベビーマッサージ、そして「接触のルール」という考え方が、私の中でとても腑に
落ちたのです。
「子どもは自分とは違う存在で、皮膚という境界がある。子どもの意思は個人として尊重すべきであ
り、コントロールするものではない。」
自分の子育てでモヤモヤしていた「ダメなところ」が、はっきりと言葉になっていた。その衝撃は今
でも覚えています。その言葉を少しずつ少しずつ、体に染み込ませていきました。
ただ、上の子たちとの時間は巻き戻せない。その後悔があるから、今の活動があると思っています。
他のママには後悔してほしくない。だから「接触のルール」を、言葉だけではなく行動で示していく
ことにしています。
今日お話ししたいのは、昨年、12月のお誕生日に向けた手形アートのご依頼をいただいたときのこと
です。
「もしかしたら、手形が取れないかもしれません」
事前にママから、そんなメッセージをいただいていました。
当日、私が玄関に一歩入った瞬間⸺その子は私を見て、わーっと泣き始めました。
私はそのまま部屋に入らず、玄関先でしゃがんで、その子の目線に合わせて声をかけました。
「そうだよね、知らない人が来たらびっくりするよね。」
「今日はね、おててとあんよをペッタンするために来たんだよ。」
泣き続けるその子に声をかけながら、しばらくそのまま待ちました。少しずつ泣き声が小さくなり、ママの声かけもあって、その子は「入ってもいい」とうなずいてくれました。
説明して、待つ
泣き止んだものの、まだ不安げな表情が残っています。
私はママとお話をしながら、まずはその子に向かって説明します。
これから何をするのか、どんなふうに手形を取るのか。
相手が生まれたての赤ちゃんであっても、必ずそうしています。
そして何よりも大切にしているのは、「おててかしてくれる?どうかな?」「あんよかしてくれるかな?いい?」と
目を見て、お子さんの許可をとることです。
ママがお子さんの手を差し出してきたとしても、私が勝手に手をとることはありません。
この日も、もちろんそうでした。
すると⸺
まだ泣き顔が残りながらも、その子はうなずき、自分から手を差し出してくれたのです。
その子からもらった「許可」でした。
そこからは少しずつ打ち解けて、手形も足形も自分からペッタンしようとしてくれるほどになりまし
た。
後日、ママからこんなメッセージをいただきました。
「娘の手足形を取る時の関わり方などとても感動しました!娘も安心した様子でぺったんできて良かったです。丁寧な対応をありがとうございました」
この言葉は、今も私の宝物です。
なぜ、玄関先で待ったのか
なぜ待ったのか。なぜ、2歳の子にわざわざ説明したのか。
私の活動の根っこには「接触のルール」があります。
この考え方が子育ての転機になり、今も活動の軸です。ベビーマッサージの教室でも、ママたちにこの考え方を毎回お伝えしています。そして、当たり前のように手形アートでも実践してきました。
でも、この日のできごと、そしてママからいただいた言葉で、手形アートでも同じように取り入れるべき大切な考え方なんだと、改めて実感しました。
手形を取るという行為は一見シンプルで、すぐに済んでしまう作業かもしれません。でも子どもの側から見たらどうなのでしょう。
知らない大人が自分の手に触れようとしている。
何か冷たいものを塗られるかもしれない。
どうなるかわからない。
その不安を無視して進めるのではなく、丁寧に説明して、その子の「いいよ」を待つ。
それだけで、子どもは「自分は大切にされている」と感じられる。そしてそれは、自分の身体に主導権があるのだ
と知る、大切な経験にもなるのだと思います。
手形アートは「触れるコミュニケーション」
タッチ育児の言葉を借りれば、許可を得て皮膚に触れ、互いを認識していくこと⸺それがベビーマッサージの大切な役割です。
手形アートにも、同じことが言えるのではないでしょうか。
小さな手に、そっとインクをのせる。その子の「いいよ」を受け取って、紙に押す。生まれた作品を一緒に見る。
それは単なる記念品づくりではなく、その子と交わした「触れるコミュニケーション」なのだと思います。
日々の子育ての中で、いつでもじっくり待ってあげることは難しいですよね。だからこそ、手形アートの時間は、接触のルールを自然に取り入れられる、ちょっと特別な機会なのかもしれません。ママも一緒にそのやりとりを見て、感じてくれる。それは新しい気づきにもなるのだと思います。
小さな声に、耳を澄ませて
手形を取る場面では、こうしたことはけっして珍しくないと思います。マルシェなどでは時間の制約があって、ゆっくり関わることが難しいこともあると思います。私自身、一対一や少人数での活動が多いからこそ実践できていることかもしれません。
でも、できる範囲でいいのだと思っています。一言伝えること。触れる前に目を合わせること。少しだけ待つこと。それだけで、場の空気はずいぶん変わるのではないでしょうか。
言葉にならない「いやだ」のサイン。少しずつ変わっていく表情。そっと差し出される小さな手。その一つひとつを見逃さずに受け取っていくこと。それが「接触のルール」の本質なのだと、私自身、あの日の経験を通じて改めて感じました。
同じように子どもたちと関わっている皆さんの活動の中でも、きっと似たような場面があるのではないかと思います。
「この子は今、どう感じているだろう?」⸺そう立ち止まる一瞬が、温かいコミュニケーションの入り口になるのかもしれません。
3月のタッチ育児チャンネルでみーこさんがお話しします!
ベビーマッサージでも、手形アートでも、「赤ちゃんもひとりの人間として尊重する」・・・
大切にしたい活動の”軸”となるものを再確認したみーこさん。
「実際はどんな風に声かけをしているの?」
「泣いてしまって、なかなか進まないときは?」
など、素朴な質問も大歓迎です。
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